コラム:「すべてあてはまった」體から読み解く助産こそが助産師の力
2025/12/22
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コラム~スタッフのつぶやき
2025年12月 part2

こんにちは。母子フィジ子です。
「前駆陣痛について聞きたいんです」という
会員Tさんとの対話から始まった今回の分娩介助は、
まさに母子フィジカルサポートの体現でした。
相手の感覚を尊重し、結果だけを追わず、不快なことはしない。
そこにはTさんの感覚と確かなアセスメントが息づいていました。
●母子フィジの言葉がすべてあてはまった
ある助産院で3人チームの一員として、
22時間51分に及ぶ初産婦Rさんの壮大な出産に立ち会ったTさん。
振り返りの第一声は「習った言葉がすべてあてはまった」という驚きでした。
お産前、フィジ子から贈った
「赤ちゃんの居心地を感じて」という言葉を頼りに、
彼女は手の感覚を研ぎ澄ませてお腹に触れました。
すると、
「この辺緊張してる」
「なんか楽そう。しんどそう」という状況を感じたそうです。
また、妊娠中から関わることで
「お産の時骨盤がすごく変わる」ことを実感。
他スタッフが「これまでは骨盤をここまで見ていなかった」と漏らすほど、
わかるところからアセスメントを繋げていく視点は、
助産師にとって大きな武器となりました。
●自分がぶれない根拠
お産が停滞し、チーム内に不安が広がる場面でも、
Tさんは「體(からだ)」を根拠に自分を保ちました。
開始から16時間、子宮口9.5cmで停滞。
チームの助産師がトイレを促す中、
Tさんは「今は不正軸進入だ」とアセスメントし、
四つ這いで骨盤軸と胎軸を整えることを提案しました。
トイレ後も進行は変わりませんでしたが、
四つ這いで仙骨の動きにアプローチしたところ、
子宮口が同心円状に開大!
「赤ちゃんが楽そう。これで整った」と判断したTさんは、
「あとは二人に任せるだけ」と腹が据わりました。
その後、ママの心に「産む!」という火が灯り、
無事元気な産声が響きました。
●「進まない」には意味があった
「前駆陣痛は、母子が互いを整えるための工夫」。
その気づきが、Tさんの視点を変えました。
恥骨痛の原因を骨盤のねじれや児頭の乗り上げと読み解けたからこそ、
焦らずママを信じて待つことができたのです。
「直感とは膨大な知識と経験の蓄積の結果」(上野千鶴子氏)です。
今回Tさんは主訴と観察した情報から頭の中でアセスメントを行いました。
そのプロセスは、母子フィジカルサポート研究会が伝えるケアの再現性そのもの!
この「感覚を言語化する力」をより多くの助産師へ伝えていけることに、
今、心からわくわくしています。
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